2016年05月27日 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
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2016年05月27日 [Default]
中学生の生徒がバドミントン部の部活動中に熱中症になり、後遺障害を負ったのは対策の不備が原因だったとして、女性が市に対して損害賠償を求めた訴訟の判決があり、裁判所は、学校が熱中症を防ぐ義務を怠ったと判断し、女性の請求を認めました。

これから夏に向けてどんどん気温は上昇していきます。
熱中症の未然防止、会社責任を問われないためにはどうすればいいのでしょうか?

そもそも熱中症とはどんな症状なのでしょうか?
熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称であり、症状としては、「めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温」などが挙げられております。

そして、熱中症は「死に至る可能性のある病態」とも指摘されております。

上記訴訟を会社に置き換えてみてください。
会社には従業員に対しての「安全配慮義務」が課せられております。
そして、「安全配慮義務」を怠った結果、従業員が後遺障害などを負うことになれば損害賠償責任を問われます。

そうです。
これからの季節、どの経営者様も熱中症対策が必要になります!

熱中症

それでは、熱中症対策としてどのようなことをすればいいのかが問題ですね。
厚生労働省では以下のような例を挙げ指導しております。

1・作業環境管理
  @ WBGT値(暑さ指数)の低減に努める
  A 休憩場所の整備
2・作業管理
  @ 高温多湿作業場所での連続作業時間の短縮等に努める
  A 計画的に、熱への順化(熱に慣れ、環境に適応すること)期間を設けるよう努める
  B 水分・塩分の摂取
  C 透湿性・通気性の良い服装、帽子などを着用させる
  D 高温多湿作業場所では巡視を頻繁に行い、健康状態に異常はないかを確認する
3・健康管理
  @ 健康診断及び異常所見者への就業上の措置(作業場所の変更、作業の転換など)
  A 日常の健康管理についての指導、健康相談
  B 作業開始前・作業中の巡視などによる労働者の健康状態の確認
  C 休憩場所などに体温計や体重計などを備え、身体の状況を確認できるように努める
4・労働衛生教育
  @ 熱中症の症状の教育
  A 熱中症の予防方法の教育
  B 緊急時の救急措置の教育
  C 熱中症の事例の教育

こうして並べると大変です・・・。
私も以前勤めていた会社で人事として熱中症予防の計画を任された経験があります。
その際には、まずは上記4の社員教育を行いました。
熱中症予防のポスターを作成して掲示しました。
自動販売機の業者と交渉して、夏場の清涼飲料水の値下げも行いました。
安全衛生委員会で取り上げて周知徹底しました。

参考になるかどうかはわかりませんが、とにかく何もしないよりは事前の「リスク管理」をしておいて損はないです。

リスク管理!!

ちなみに熱中症が労災として認定されるには、次の要件のいずれかに該当する必要があります。
「一般的要件」
@ 業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
A 当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
B 業務に起因しない他の原因により発病したものではないこと
「医学的診断要件」
@ 作業条件及び温湿度条件等の把握
A 一般症状の視診(痙攣、意識障害等)及び体温の測定
B 作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等の鑑別診断

長くなりましたが、とにかく「リスク管理」をお勧め致します。
一気に全部行うのは大変ですので、できるところから少しずつでも取り組むことです。
こうした業務災害が起きず、従業員みんなが気持ちよく働ける職場づくりをしていきましょう!!

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