2017年03月02日 - ビジネスブログ

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2017年03月02日 [Default]
某タクシー会社とそこで働くドライバーの裁判が続いています。

某タクシー会社の賃金規程には、
「残業代が生じた場合、売上に応じて支払われる歩合給から残業代を差し引く」
との記載があり、それに沿って歩合給から差し引いて計算していたようです。

賃金規程

「残業代が払われない賃金規程は無効だ!」と運転手が訴訟提起したわけです。

普通に、客観的に見れば「確かに無効だろう」となりそうです。
実際、地裁・高裁ともに無効として未払い賃金の支払いを命じています。

しかし、この度最高裁では、「一律無効にはならない」として高裁に差し戻しました。

最高裁の判断はこうです。
「同社の賃金規程で定めたこうした規定による計算でも、労働基準法が定めている水準の残業代が実質的に支払われているならば適法」

ようは規定の読み方ではなく、実際に歩合給から適正な残業代が差し引かれていることが証明できれば直ちに違法とは言えない、ということでしょう。

高裁に差し戻して、改めて規定の計算方法を使った場合に、残業代が実質的に支払われていたかどうか検証するようです。

私は、みなし残業代に似ていると思います。
例えば「賃金は30万円で、残業代は30万円の中に残業した分を含める」という契約があるとします。
文面だけ見ればかなりグレー、いや違法でしょうか・・・。
ただ30万円の内訳によっては基本給20万、残業代10万とすれば認められる可能性もあります。

みなし残業を適用する場合に大事なのは、
残業○時間分として○○手当○万円を固定的に支給するという風に、明確に基本給等と分けて定めることです。
これをしっかり行っておかないと、前述の30万円に対して更に30万円に対する割増賃金を支払う必要が出てくる可能性が高いです。

経営側は少しでも残業代を圧縮したい。
労働者側は残業した分はしっかり手当としてもらいたい。
両者ともに当たり前のことだと思います。

大切なのは、しっかり説明し、労使双方が納得したうえで、しっかり運用すること。
これに尽きると思います。


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