2017年04月19日 - ビジネスブログ

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2017年04月19日 [Default]
中堅スーパーで働いていた男性店員が脳梗塞で死亡したのは長時間労働が原因だったとして労働基準監督署が労災認定しました。

男性店員は食品売り場で発注や在庫管理を担当する責任者だったそうです。
勤務中に急に言葉が出なくなり、そのまま入院したことがあったようです。
その後すぐに職場復帰して、今度は勤務終了直後に意識を失い、そのまま亡くなったとのこと。

スーパー店員過労死

労働時間については後述しますが、これだけ見ても相当危険だった感があります。
@ 急に言葉が出なくなり入院・・・ちょっとした過労とかではなく、通常の状態とはとても考えられません。
A 入院してすぐに職場復帰・・・病院で何かしらの病名(推定でも)が出なかったのか?また、病院として労務に服せない状況と認められなかったのか?
B 会社の対応・・・過労が疑われるような状態で緊急入院した従業員をすぐに復帰させることに何の抵抗もなかったのか?
C 店員の立場・・・責任者としてすぐに復帰しないと職場がまわらないような状況に追い込まれていたのではないか?

個人的な意見ですが、いろいろ考えてしまいますし、非常に痛ましい限りです。
男性店員は当時42歳、今の私と同じ年齢で働き盛りだったと思われます。
遺族としても本当に言葉にならないほどの悲しみがあると思います。

さて、労働時間の方ですが、最近の過労死認定基準は以下の通りです。
@ 2〜6ヶ月の平均でいずれも月80時間の時間外労働
A 1ヶ月100時間以上の時間外労働

この条件を基に、今政府の罰則付き残業規制が進められているのはご存知の方も多いと思います。

男性店員がどうだったかというと、発症前の4ヶ月平均で約76時間、1ヶ月の最大は約96時間30分でした。
いずれも認定基準を下回っているのです。

しかし、この時間はタイムカードに記録された時間を元に算出したものです。
実際は、タイムカードの打刻前、打刻後もいずれも仕事をしていたことが分かりました。
何故かというと、警備システムの管理記録などから判明したそうです。

そこで労働基準監督署は、上記のタイムカードの時間以外に「特定できない労働時間があると推定される」と指摘しました。
要は、「サービス残業」が常態化していたと「推定」いや「決定づけた」わけです。
更に、早朝出勤や深夜勤務などのシフト制で不規則な勤務体系も過労と関連が強いと判断されました。

正直申し上げて、この事例はどこの企業でも考えられると思います。
@ タイムカードつけていても残業時間がだいたい80時間未満に収まっていればいい
A タイムカードの記録以外のところで働いていても、それは自己判断だから会社は知らない
B 働けないような状態なのに、復帰してきた社員が悪い

なんて言い訳は通用しないわけです。
あくまで時間は「目安」であり、それに近い状態で勤務していて、過労が原因で亡くなれば、それは企業責任が問われると思った方が良いでしょう。

リスクはとてつもなく大きいです。
裁判・慰謝料・告訴・企業名公表・・・。
こんなことになったら中小企業は壊滅的な危機に陥ると思います。

少しでも「リスク」を念頭に置いた従業員の労務管理が絶対に求められます。


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