2016年11月 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
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2016年11月08日 [Default]
今年の5月にブログに記載して、私自身も気になっていた裁判の判決が出ました。
おそらく多くの社会保険労務士の先生方も気になっていたのではないでしょうか?

内容はこうです。
定年後に再雇用された某社のトラック運転手が、「定年前と同じ業務なのに」賃金を下げられるのは不当だと訴えました。

世間的には今まで一般的に行われてきた労働条件の変更だと思われます。
しかし、一審の判決で「業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは、労働契約法20条違反」として、定年前の賃金規程を適用して差額分を払うように会社に命じたのです。

いや〜、正直申し上げてこの判決にはビックリしました!
これが違法になると、一般的に多くの企業が行ってきたことがすべて違法になってしまうことになりかねません。
はっきり言って訴えられたら負け、という状況になると・・・。

私の顧問先は比較的若い従業員を雇用しているお客様が多いのですがやはり気になります。
高齢者を雇用しているお客様にはすぐに連絡させていただきました。

というわけで今回の判決は安心しました・・・(安心していいことかどうかは微妙ですが・・・)

高裁は今回の判決で、再雇用者の賃下げは「社会的にも容認されている」と指摘しました。
いや、ごもっともです。
そして、賃下げはしたものの、60歳以上の高齢者の65歳までの雇用確保義務は守っているわけですから。

賃下げ適法

ただ安心するのは早そうです。
もし仮に同様の内容の裁判を起こされたら、必ず勝てるとは言えなそうです。

今回の企業は、以下の点も考慮されています。
@再雇用の労働者に「調整給」を支払うなど、正社員との賃金格差を縮める努力をしていた
A退職金を支払っていた
B運輸業の収支が赤字になっていた
C賃金の減少幅は約20〜24%と大幅な減額とは言えない

以上のようなことも考慮されて、「労働契約法に違反しない」という判決が出たのです。
単純に60歳以降は賃下げが合法というわけでもなさそうです。
事案によって判断されることになりそうな気がします。

もう一つ気になるのが、政府が大声をあげている「同一労働同一賃金」との兼ね合いです。
今回の判決は、政府の進めようとする政策を根底から覆すもののような気もします。
原告は、まさに「同一労働同一賃金」を求めて訴えたわけですからね。

裁判の方向性、国の方向性、双方に注意を払っていかなければいけないと思います。

2016年11月07日 [Default]
日本年金機構でまたミス発覚!!

今回は、90歳以上の女性に対し、26年間分、総額1448万7千円の遺族年金支給漏れです!

経緯は、女性の夫は沖縄に住んでいたことがあり、受給資格期間の特例措置が適用されます(詳細は省きます)。
日本年金機構はこの特例を見逃していたとのこと。

遺族年金

あれ?ちょっと前に消えた年金問題で大騒ぎになったのが沈静したかと思ったら・・・まだあるんですね・・・。
結果、遺族厚生年金分として年間50万円程度が26年間支払われなかったようです。

日本年金機構は女性に謝罪し、未支給額を支払ったそうですが、それだけでいいんですかね?

女性は90歳以上。
26年前は65歳前後でしょうか。
まだまだ今の日本では元気な年齢です。

年間50万円がその当時からプラスされていたら・・・。
たかが50万円、されど50万円です!
女性の暮らしや趣味、いろいろな生活面が変わっていたかもしれません。
いや、確実に多少なりとも違うでしょう。

この26年間はとんでもない期間です。
未支給分だけ払えば済むっていう問題でもないと思いますが・・・。

今回は、女性がとても優しい人だったと推測されます。

私の母も遺族年金をもらっているので他人事とは思えません。

もし私の母だったら(怒)

何度も何度も襟を正すのはいいですが、
本当にしっかりしてもらいたいです・・・。
年金は人生に関わるものですからね。

2016年11月02日 [Default]
従業員は、会社の機密情報や個人情報を持ち出してはいけない!
当たり前のことですよね。

しかし、実際には退職前に情報をUSBに入れたり、コピーしたり、メールしたりする従業員はかなりいると思われます。
本当に重要な機密を持っていかれて悪用されたら大変な損失です!

どうしても防ぎたいですよね。
どうしたらいいのか?

就業規則や情報保護規程で明文化しておくことが第一です。
その他にも誓約書を取っておくことも必要です。

しかし、それでも確実とはいえません!
実際に機密事項とは何を指すのか?まで記載しないと確実な効力は発揮できません!

「顧客情報」一つとっても、顧客の「名前」だけなのか「所在地」「電話番号」「経営状況」・・・すべてなのか確定しておく必要があります。
必ずしもではありませんが訴訟になった場合には効力を発揮します。

例えば、機密情報をを競合する転職先に持っていかれたら大きな損失を受ける可能性があります。
こういった場合には損害賠償等の訴訟を起こさなければならない状況になるかもしれません。
訴訟では、「証拠」が当然重視されますので就業規則や規程、誓約書は大きな証拠になるのです。

先日こういった事例がありました。

退職する従業員が、転職前に某大手自動車会社の秘密情報を不正にコピーして持ち出し、競合する大手自動車会社に提供したとして某大手自動車会社が訴訟を起こしました。

機密情報持ち出し

判決は、元従業員に対して有罪判決が出ました。

この事例で某大手自動車会社が勝訴したポイントは次の通りだと思います。
@持ち出した情報が「自動車の商品企画に関する情報ファイル」だった
A転職先が競合する大手自動車会社だった
B最初から悪意があって(転職先に提供するつもりで)情報を持ち出し、実際に提供した

今回の某大手自動車会社側にはこれだけの要素があったので勝訴できたのだと思います。
実際は、相当な従業員側の悪質性と、情報の機密の重要性がそろわないとなかなか有罪まで行かないと思います。

現に、この元従業員は、「自動車の製造工程などに関する教本の一部をコピーして持ち出した」点でも起訴されていました。
しかし、判決では、これは「営業秘密には該当しない」としております。

確実な防衛法は正直ないと言っていいかと思います。
しかし、できる限りのリスク管理を行っておけば、いざというときに会社を守ることができます。

今一度、機密事項についての就業規則や規程の見直しをお勧め致します。

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