2016年11月28日 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
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2016年11月28日 [Default]
退職金は、退職金規程に定めてあれば基本的にどんなことがあっても支払う義務があります。
どんなこととは??例えば経営難に陥ってもです。

退職金規程があれば労働者は退職後の生活をある程度想定できる安心感があります。
しかし、その一方で企業としては大きな負債を持っているとも言えます。

当事務所でも、何件も就業規則の作成を受け持っていますが、その際に退職金はどうするか?は慎重に決めます。
「従業員のためだから」と安易に規定してしまえば、支払いの義務を免れません。
今後の計画を十分に立てたうえでの規定をお勧めしております。

ちなみに、規定に定めていなくても、例えば退職する社員に寸志として経営者が決めた額を支給する企業も多くあります。
この場合も要注意です!
今までそのように支給していた実績があった場合、「他の退職者には支給しない」というのは通用しない場合が多いです。
「慣例」として支給してきた場合、それが規定と見做されてしまうこともあるのでご注意ください。

さて、前置きが長くなりましたが、表題の合併による退職金についてです。

今回のケースは、某信用組合が合併することになり、その際に退職した従業員の退職金を「大幅に」減額したというものです。

退職金減額

最近は、地方の金融機関などは事業統合が多いですよね。
当然、事業統合するということは、採算があまりよくないから統合によって経営基盤を安定させる意味合いがあるのでしょう。

そういった意味では、退職金を通常通り支払うのは厳しい!という経営側の気持ちは分かります。

今回のケースでは、退職者は「具体的な不利益の内容について説明を受けていなかった」と申し出ています。
ただ、「同意書」には署名しておりました。

しかし判決では、「必要十分な情報を与えられておらず、減額に同意したとは認められない」として、
「合併前の基準で」退職金が支払われるべきだ、と結論付けました。
結果、退職者の訴えがほぼ全面的に受け入れられた形となります。

前にも述べた通り、規定があればどんな状況であろうと支払う義務が出てくるのです。
もちろん退職者に「懲戒解雇事由」等があれば話は別ですが・・・。
今回のように、経営難等の場合は「減額」は可能だと思います。
ただ、「十分な説明」を尽くし、「本人の同意」を得なければ無効になるということです。

これから多くの業界で経営統合が進んでいく可能性があります。
または、突然の経営難に見舞われる可能性もあります。
いざというときのためにも、退職金についてもしっかりと念頭に置いておく必要がありますね。

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