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オールウィン社会保険労務士事務所
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2016年09月05日 [Default]
最近よく表題の流れのニュースを聞きます。

まず、長時間労働。
これは直前数カ月で80時間以上の時間外労働があったか否かで判断されます。

次にうつ病。
業務との因果関係が問題になりますが、既往症がない限りは、長時間労働が認められれば大方業務に関連するものとして認められる傾向にあります。

自殺。
これはうつ病とそれ以外の部分の関係性が問題になってきますが、業務に関連してうつ病と認定されれば必然的にうつ病による自殺と認定されるでしょう。

結果として労災に該当されるか否かは労働基準監督署や労働局、厚生労働省の判断となります。

何を申し上げたいかというと、こういった長時間労働によりうつ病を発症し、従業員が自殺したとなれば「企業イメージの大幅なダウンは避けられない」ということです。社名が公表されますので従業員はもちろん、既存の取引先や、今後の企業の発展に大きなダメージをきたすでしょう。

もちろん遺族からの損害賠償や慰謝料請求への対応も避けられません。

つい最近、コンビニで店長として働いていた31歳の男性が自殺したのは、上記の過重労働が原因だと遺族が起こした訴訟の判決がありました。
判決は、店長が半年間の平均で月120時間を超える時間外労働があり、うつ病発症との因果関係があると認定しました。

私も学生時代にコンビニでアルバイトした経験があります。
コンビニは24時間営業がほとんどなので、朝から深夜までシフトをしっかり埋めておかないと店長自身がシフトに入ることになります。
当然、本社からは売り上げや利益目標も伝えられていてプレッシャーもかかることでしょう。

コンビニ店員

とにかく、経営者として気を付けることは「個々の従業員の労働時間管理をしっかりする」ということです。
知らないうちに時間外労働が月100時間常態として行われていた・・・では済まされません。
企業を守るためでもあります。
そして人を守れない企業は成長なし、だと思います。

これからは、「ヒト」を大切にし、そのうえで「ヒト」を上手に管理していく経営者の手腕が問われます。

2016年08月29日 [Default]
69歳の運転手の男性が、同じ仕事をしているのに年齢が下の運転手より賃金が安いのは違法だと訴えた訴訟の判決がありました。

この男性は、「別の」会社を60歳で定年後に「有期契約の」運転手として働いていました。

ちなみに賃金は60歳未満の運転手と比べて8割程度だったとのことです。

判決は、「企業の裁量の範囲内で、不合理な差別とは言えない」、
また、「定年後に賃金水準が下がるのは日本では一般的」として請求を棄却しました。

会社の裁量

先日、ブログで定年後の再雇用で同一労働での賃金を低くした件の訴訟結果をお知らせしました。
結果は、定年後再雇用で同一労働であれば特段の事情が無い限り賃金格差をつけてはならない、というものでした。

今回の件と似ているようですが、違う判決が出たのは、やはり「別の会社で働いていた(60歳以降に入社)」、「有期契約労働者(正社員とは責任等の度合いが違う)」等が判断基準になったのではないかと思われます。

しかし、国は「同一労働同一賃金」を推し進めようとしているのにどうも釈然としません。
私は正直申し上げて判決は妥当だと思います。
でも国の施策からするとずれているということになるのでしょうか・・・。

そもそも「同一労働同一賃金」がよくわかりません。
そんなものが本当に実現できるのでしょうか??
誰がどのような基準で判断するのでしょうか??
確実に混乱するでしょう・・・。

最低賃金の大幅引き上げや同一労働同一賃金など労働者にとって聞こえのいい政策を実行しようとしていますが、私は甚だ疑問です。

2016年08月25日 [Default]
「労働協約」とは、使用者と労働組合が結ぶ協定のことです。
拘束力は非常に強いと言ってよいでしょう。

横浜市の企業で働くバス運転手が、労働協約に反する「転籍」を拒否した後に、運転業務から外され、清掃業務などに従事させたのは違法だとして訴訟を起こしたとのことです。

当初の労働協約では、分社化後も運転手を同社に在籍させたうえで、従来の給与を支払う内容でした。
しかし、これに違反する形で支出削減策として運転手に子会社への転籍を要求したとのこと。
転籍に伴い給与が減額になることから運転手が拒否したところ運転業務から外され清掃業務などに配置転換させられたとのことです。
いわゆる「追い出し部屋的処遇」を受けたとしての訴訟です。

違法な配置転換

論点としては、まず拘束力の強い労働協約に違反していることが問題です。
そうした行為にでるのであれば、当然事前に労使交渉が必要となるでしょう。
大体の争いはこうした段階を踏まないために引き起こされると思います。

次に、給与の減額の合理性ですね。
支出削減策としていますが、本当に給料を下げるだけの合理性があったかが重要です。
何もなくいきなり給料を下げてしまってはいけません。

そして、減額拒否を理由にした配置転換ですね。
バス運転手から清掃業務への配置転換は客観的に見て明らかに不合理ですね。

裁判はこれからですが、どういう判決になるのでしょうか。

中小企業には、なかなか労働組合が無いため労働協約も無いと思われます。
しかし、労働組合や労働協約の有無にかかわらず、同様のことをすれば同様に訴えられる可能性があります。
十分に認識しておくことを強くお勧め致します。

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